会 長 挨 拶

           日本水稲品質・食味研究会会員の皆様へ


                     
                      会長 松江勇次
                 (九州大学農学研究院・特任教授)

        4年間の研究活動をふり返って
                      (平成25年8月)
 水稲の品質・食味に関する学術の発展および実用技術の振興を図ると共に,同学の士の親睦を厚くすることを目的として水稲品質・食味研究会を200911月に立ち上げてから,はや4年目に入りました。これまでの本研究会に対するご支援とご協力に感謝申し上げます。この間,会長として会員皆様には年ごとの活動方針を示した内容を提示することを怠っていたことに深くお詫び申し上げます。
 さて,研究会の活動は,会員皆様のご支援のお陰で年々次のとおり順調に発展しつづけております。活動の基本であります講演会は,毎年確実に開催され,その年に問題となった内容や講演会開催地の課題を反映させた内容を取り入れるなどして,講演内容の充実を図っております。講演会は今年で5回を迎えます。5回目は香川大学農学部で,12月に開催されることが決まっています。ふるってご参加していただくようお願いいたします。また,米の品質・食味に関する研究の進展と成果情報を研究者,農家への普及を目指すために「農業および園芸」雑誌にタイトル名「米の外観品質・食味研究の最前線」で毎月号の連載講座を立ち上げました。現在で26回を迎えて大変好評を博しており,会員皆様の寄稿をお願いいたします。さらには,日本作物学会第235回講演会(20133月)において「わが国における水稲高温登熟条件下での米の品質,食味研究戦略」テーマで,異分野からの参加による横断的なミニシンポジウムの実施は,極めて刺激的で有益な知見が多く散見されて意義ある深みのある研究会となりました。そして,現在の会員数は,発足当初は約40名程度でありましたが,日本学術会議の学術研究団体として指定の要件であります100名に今一歩というところまで増加しています。その一方で,研究会としての存在意義,価値としての視点からの情報発信力や影響力,異分野との連携はまだ不十分で,さらなる活動強化を図っていかなければと思っています。この思いに応えるために,今年を含め具体的な活動方針としては,次のように考えています。

1.さらなる会員数の拡大(目標500名)
 水稲の品質・食味研究会の発展の節目として,日本農学会加入登録を目指す。

2.会員への研究会加入メリットを増大させる
 研究会の振興を図っていくうえで,会員に研究会加入メリットをもっと明確に示して,かつ増大させていく必要があると痛感しています。このためにも会員の活動,成果情報,技術シーズ,著書などをホームページでコーナーを設けて紹介し,会員相互間の情報提供を密にする。会員による海外の学会動きや有効な関係図書を紹介するコーナーも適宜設ける。

3.米の品質・食味学という学問分野のプレゼンスの確立
 国内外でよりインパク度を高めるために,国内での横断的なシンポジムと国際的なシンポジムを開催企画する。

                                以 上







      **************  過去の会長あいさつ文  *************

                      (平成22年4月)

          日本水稲品質・食味研究会のHP開設にあたって
                             
                      会長 松江勇次  
                 (福岡県農業総合試験場 場長)
                     
 このたび日本で初めて設立された日本水稲品質・食味研究会の会長に選出されましたので,当研究会の設立趣旨を述べることによって会長就任の挨拶とさせていただきます.もとより浅学非才の身ではありますが、これからの当研究会の発展のために全身全霊を打ち込んでいく所存です.
 ご存知のように米の品質とは流通・消費過程において商品として備わるべき資質であります.特に米市場において外観品質をとおして食味が重視されているなかで,食味は水稲品種が具備すべき重要な農業形質の一つであります.さらには,食味の向上は売れる米づくりを通して水田を守り,産地の稲作振興を図っていくうえでも大切な課題でもあります.食味は決して飽食の結果として求められている形質でありません。食味はその国の人種,気候および土壌といった総合的な風土に反映された嗜好性に基づく食文化であります.
 現在,水稲栽培現場においては,温暖化にともなう水稲の生育期間中の気温上昇などによって作柄の不安定化とともに品質の低下が問題になっており,米農家に深刻な影響を与えています. 
 健全な米づくりとは品質向上と収量性とが両立していることであり,決して食味を含めた品質向上は,収量性と相反するものではありません.品質と作柄が不安定な今日こそ,この考えを前提とした品質・食味に関する学術の発展が望まれます.その一方で,海外に食味研究の目を向けると,これまで高収量を目的に品種開発を行ってきた国際稲研究所(IRRI)が,2006年から良食味米に重心を移し,その開発を加速しています.研究目標は高品質米の生産を通じて農家の所得を向上させ,同時に消費者に栄養価が高く味の良い米を提供することであります.また,世界最大の米生産と消費の国である中国においても,饑餓問題の解消や所得の向上によって,品質の良い米,良食味米を消費者が求め始めたことにより,良食味品種の開発と良食味米生産のための栽培管理技術の開発に重点化が図られています.
 わが国においては,これまでに水稲の品質・食味に関して全国的に組織化された研究会はありませんでした。こうした背景のなかで,水稲の品質・食味に関する学術の発展および実用技術の振興を図ると共に,同学の士の親睦を厚くすることを目的として水稲品質・食味研究会を立ち上げたしだいです.
 この研究会の目指す具体的な研究分野は,これから構築していく面もあるものの、基本的には,作物学,育種学,食品栄養化学,加工・調理学等を包含するといった米の品質食味に関する学際的研究にしたいと考えています。当研究会の振興は,会員の発信する情報力の影響度いかんにかかっていると思いますので,会員のインパクトのある知的情報の発信を期待するところ大であります.最後にさらなる本研究会の発展のために会員皆様方のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げて設立趣旨説明と会長就任挨拶とさせていただきます.
                                                                              以上